〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio


Live Magic

 25(土)26(日)と東京恵比寿のガーデンプレースで開催された「LIVE MAGIC」に行ってきました。
 実は私にとってライヴ&コンサートは初めての体験でした。諸般の事情により、学生時代にはコンサートとかライヴには行けなかったのです。それでのめり込んだのがオーディオです。当時はまだCDなどない時代。CDの録音フォーマットの出発点となったPCM録音がやっと世にでた頃でした。したがって、当時のオーディオ装置は基本的にはレコードの再生装置だったのです。
 そんなわけで、実のところレコードの音溝に刻まれた音楽とライヴの演奏との違いなどは私には体験としては理解できていなかったわけです。私にとってのライヴとは、自分で弾くギターであったり、友達が弾くギターであったり、せいぜい学生時代に経験した学校での演奏会でしかありませんでした。
 そんな私でも頭の中では『ライヴが一番いいのはあたりまえ』ということはわかっていました。同時に、ライヴというのはそうは簡単に体験することができない、という事実も知っていたわけです。その結果、学生時代を通じ、そして還暦を迎えた今まで私にとっての音楽のほぼ全てが『レコード音楽』だったわけです。『ライヴの次に良いのは優れたアーティストの優れたレコード』であると信じ‥‥。
 そんな私が人生初めて経験した超本格的なライヴ・コンサートが「LIVE MAGIC」-正式には
Peter Barakan’s LIVE MAGIC!-でした。
 初めての経験がこの「LIVE MAGIC」だったということは、私にとって非常に大きな意味がありました。一番には、非常に質の高いアーティストの演奏を生で聴くことができたこと。二番目には、非常に質の高いアーティストの演奏を二日間に渡り複数聴くことができたこと、です。
 私はオーディオやレコードに非常に興味があるのですが、知識があるわけではありません。また、持っているレコード、今までに聞いたアーティストは非常に偏っています。実のところ「LIVE MAGIC」に出演されたアーティストの多くの方の名前すら知らなかったのです。このことが三番目に良かった点だとも思います。アーティストや曲になんの予備知識もない中で初めて聴く生演奏は、良い悪いが素直に私の中に入ってくるからです。どんな著名なアーティスト、大御所だろうが私が初めて聴いたときの演奏が全てなわけです。その意味でも今回は良い経験をしました。
 どのアーティストにどう感激したかは置くとして、共通に感動したのはライヴ演奏のもつ音圧です。やはり音楽は体全体で聴くものだと、本当にそう思えるほどの音圧‥‥。心臓に響くの詩的表現が「心に響く」ということが実によく体感できます。かなり広い会場の後ろにいても感じられる音圧;どこにいても体に届く音量;これは耳でしか聴いたことがないダウンロード・ミュージック・リスナーには理解できないかもしれない。僕自身が音楽は大音量でたくさんの人と一緒に聴くという主義だから余計なのかもしれない。そして、今僕がやっていることの方向は間違っていないと確信したわけです。
 もう一つ実際の演奏を聴いててわかったことは、優れたアーティストは自身の大好きなアーティストのレコードを聴き込んでるということでした。
 
告井延隆さんの演奏に強くそれを感じました。「Here Come The Sun」の中のヒューって音が右から左にパンしていくところまで口で表現するディテールに私は痛く感動して唸ってしまった。それ以外の曲でも、いったいこの人はどれくらいこの曲をレコードで聴いたんだろう、本当に音溝が潰れてしまうほど聴き込んだんだろうな〜と思ってしまった。

 そんなこんなで「LIVE MAGIC」1日目は、会場の3階と1回を行ったり来たりしながら、演奏は完全にスタンディングで聴くという体験して、さすがに60の我が身にはこたえました。その経験をすぐに活かし、2日目は会場を一箇所に絞り、更にアーティストも絞って、実際の演奏の小一時間前から会場内にほんの少しだけ用意されていた椅子を確保し、ずっと座り込んで聴くことにしたのです。前日のスタンディングで聴いたのと違いがあるのかとも思ったが、なんてことでしょう、大音量、強音圧はリスニング・ポジションを全く問わない。座って、目を閉じて聴いていると、部屋でレコードを聴いているような感覚に陥り、その気持ちよさに最上の音楽に浸されながら心地よい眠りに‥‥。
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