〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio

最近の関心事 〜 続き 〜

自分のオーディオシステムで「最短の増幅回路」をどう組むか‥‥。これを考えた時に思い当たったのが、LTのフォノ出力のことだった。

ここで今一度フォノ出力について確認すると‥‥フォノ出力とは、イコライジング用の増幅回路を通らない出力、つまりレコード盤の音溝をトレースした時に最初に得られる電気信号のことである。

LTのフォノ出力は、先述した通り、カタログ上では3.2mVと、一般的なMMカートリッジとほぼ同じ値である。ところがカタログには明記されていないが、大本はラインレベル(300mV = 0.3V)程の値であるという。元々ラインレベルの高出力を得ていながら、一般的なオーディオ製品の規格にあわせるために、わざわざ減衰させているのだという。これはモッタイナイ‥‥使わない手はない‥‥と、やっと気付いたのだ。
そんなこんなのいきさつで、わが家のレーザーターンテーブルは、今さいたま市の南浦和にある実家に里帰りしている。(改めて確認した処、LTのフォノレベルは400mV = 0.4Vだということだ。)

ついでにフォノEQの話をすると;
LTの(というかすべての製品の)フォノ出力がラインレベルになると、実は大変困った問題が起こる。今まで使っていた、或いは売られている、フォノEQ製品は、使えなくなってしまうのだ。現行製品はフォノ出力としてラインレベルの高出力を想定していないので、そのまま使うと、恐らく、壊れる。じゃァどうするのか?

解決策の一つは、LTを世界で唯一製造・販売している(株)エルプが現在開発中のフォノEQアンプを購入する;今一つは、ラインレベルの高出力を使ってフォノEQの役割を果たせる製品を探す、のどちらか(銭があれば〜ァ、両方)だろう。自作という手もないわけではないが、ハンダ鏝を握るのがやっとの私にとっては、自作は思考外である。
デモそんな都合の良い製品があるのか??
ということで辿り着いたのがコルグの製品だ。

レコード盤をアーカイブするためにDSD録音が可能なDACを探していて、たまたま出逢ったのがコルグのDS-DAC-10Rという製品だ。これがなんと機能的にも価格的にも私の希望にぴったりの製品だった。

どうもフォノEQも奥が深いらしい。この深淵にも以前からモヤモヤサマーズ的な想いがあったのだが、その燻る想いに火をつけてしまったのがM氏に紹介されたあるサイトの記事だ。

RIAA,最近では「リア」とか読むらしい、がフォノEQに関係しているということは、学生時分から知っていた。RIAAというのは「アメリカレコード協会」の略で、正しくは「Recording Industly Association of America」だそうだ。この協会が1954年に規格化したのが「RIAAカーブ」で、レコードの録音・再生用のカーブのことである。

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なんとこのカーブ私とオナイドシじゃん。
私はてっきりRIAAはすべてをカバーする、と思っていた。私の学生時代の情報なんてそんなもの。今のようにタダで情報とりまくり、なんて時代ではなく、信頼できる、使える情報は、それなりにお金や時間を使わないと得られなかったのだ。その結果が「RIAAはすべてをカバーする」という思い込みであり、BassとTrebleが何故アンプについているのかが疑問として残ったままの状態なのだ。

「時」は多くのことを解決する。還暦を過ぎた今、学生時代の思い込みや疑問を解決する時間と手段は多くなった。そんな中また調べ始めたのがフォノEQとRIAAカーブだった。

コルグの製品は、このフォノEQカーブを6種類備えている。RIAAカーブ以外に五つあるということだ。しかもこのカーブを適用する場面を選択できる。「掛け録り」と呼ばれる仕方と「後掛け」と呼ばれる仕方の二つだ。なんだか「掛け蕎麦」と「盛り蕎麦」の違いのような感じだが。「掛け録り」は文字通りフォノEQカーブのどれかをONにしてレコードを録音・モニターする、「後掛け」はフォノEQを一切使わずに録音・モニターした音を、再生する時に6種類から選んだ一つのカーブを適用するわけだ。
前者で録音すれば、好みのフォノEQカーブで再生した音が保存でき、後者で録音すればフォノEQを通さない音が保存できるため、再生の度に異なるカーブで聴くことも可能になるのだ。
思うに、レコードのアーカイブには後者が適しているといえる。将来フォノEQ機能をソフトウエアとして提供する製品が増え、優秀な製品が現れたら、アーカイブ音源を損なうことなく、最新技術の恩恵を受けられるのだ。
まぁそうした需要も徐々に出てきたんだろう。

アナログの見直しによってデジタルも活気づく‥‥どちらかがどちらかを淘汰しておしまい、という風では経済が回らなくなった、ということだろう。これからは、アナログ、デジタルそれぞれがそれぞれの特徴や長所を認めあい、巧く融合していく時代になるんだろうなぁ。そうなることを大いに期待したい。
音に関していえば、アナログ、つまり連続音にまさるものはない(とおもう)。今ハイレゾなんて呼ばれる音の技術もしょせんレコードの音質に追いつこうとしているに過ぎない。
私などはハイレゾなどというデジタルの技術も重要だが、こうした高いデジタル技術でより(というか、圧倒的に)精度の高いグルーブ(音溝)をもつレコード盤を作った方が、経済的な意味でもより効果があるように思うのだ。

その意味でコルグの製品は先進的で面白い製品だと思うし、レーザーターンテーブルと組み合わせて得られる音というのはかなり先進的なものだと思えるのだ。

〝音斎処〟では今後このような方向でのレコードコンサートも企画していきたい。

最近の関心事

レーザーターンテーブル(以降、LT)のフォノ出力のラインレベル化とフォノEQ未通過の音、というのが最近の私のもっぱらの関心事である。
とは言え、フォノEQ未通過の音は、いま里帰りしているLTが帰ってきて、実際に聴いてみないと何とも言えないことなのだ。

そこでLTのフォノ出力ラインレベル化について少し‥‥。

レコードプレーヤー(再生装置)であるLTは、当たり前のことだが、一般的な針を使ったそれと同様、レコード盤の音溝をトレースして、そこに刻まれた音の波形を再生している。針の場合は実際に針が音溝に触れてトレースしているのに対し、LTはレーザー光によってその音溝をトレースしている。トレースよりもスキャンの方が当たっている。

針は音溝に接触して、刻まれた波形に従って振動し、その振動が電気信号に変えられ、増幅されて我々の耳に届く。LTでは、レーザー光を盤面に照射し、反射光によって音溝の波形を電気信号に変換している。この二者には二つの重大な違いがある。
一つは接触しているか否か、今一つは発電している場所である。

発電と書いたのは意味のあることで、物理的な波形を電気信号に変えるには、波形をトレースする針の振動を電気信号に変換する必要がある。この変換がまさに発電なのである。これは「電磁誘導」と呼ばれ『フレミング右手の法則』で説明される。

レコード盤が発明された当初は、単純に針で得られた震動音を、大きなラッパ型のスピーカーで聴いていた。この原理は「糸電話」と全く同じである。
処がこの方式ではきこえる音量に限界がある。より大きな音を得るためには、より大きなスピーカーが必要となるが、そこには自ずと限界と制約があるわけだ。そこで考え出されたのが発電方式である。

振動を電気に換えて、その電気を増幅すればより大きな音が得られるのでは、と考えたのだろう。その発電の役割を担っているのが、一般的なレコードプレーヤーに付き物のカートリッジである。
カートリッジとは、振動体である針と発電体である磁石とコイルとが一体化された箱のようなものだ。カートリッジの基本的な構造は、発電機やマイクロフォンと同じである。つまり磁石とコイルを使って電気を作る、つまり発電するのだ。

この方式の欠点は、以前よりも大きな音量を得られる様になったものの、発電で得られる電気は微量であるため、その電気を大きくする、つまり『増幅』をしてやらなければ鳴ら(成ら)ない点だ。
カートリッジがどれ位の電気を発生させられるかというと、例えばアキュファーズのAC-5で0.24mV(1KHz 5cm/sec)とかなり微弱なものだ。デノンのDL-103で0.25mV、同じくDL-110で1.6mVである。普通のオーディオ機器(CD再生装置など)のライン出力が0.5Vから1V位の間なので、高出力型と呼ばれるカートリッジでもかなり微弱な電気しか得られないのだ。つまり、レコード盤に接触しながら、レコード盤に最も近い場所で発電しているカートリッジで得られる電気には、自ずと限界があるといえる。

他方LTでは、まずレコード盤と物理的に接触して発電をしていない。光の反射により発電をし、しかもその発電はレコード盤から離れたところで行われている。(光をどのように電気に換えているのかは、私では理解できないので、ここでは説明しないが‥‥。)その結果、カートリッジで得られる電気よりもはるかに大きな電気を得られるようなのだ。
実際LTのフォノ出力は「大本(おおもと)」では、ラインレベルの電気を得ているという。(これには、どうも鏡が関係しているように思うのだが‥‥。)

ところが製品としてのLTのフォノ出力は、カタログ上では3.2mV(1KHz 5cm/sec)である。先のDL-110の倍の出力がある。しかし、これはフォノ出力としては高い方であるが、ライン出力に比べるとケタ違いに低いのだ。なぜなんだろう。という疑問は残るが、それは後回しにする。

ここで、どうしてフォノ出力のレベルが問題になるのかを説明したい。どのような理由からフォノ出力で大きなレベルを得たいのか、である。簡単に言ってしまえば、小さなものを大きくする時には、必ずといっていいほど、歪みが生ずるからである。つまりよい音が得られないからである。

電気信号を大きくすることを増幅というのだが、この増幅は歪みとの戦いでもある。増幅は英語では「amplification」、動詞なら「amplify」で、オーディオ用語で必ず表れる「アンプ」はここから来ている。さらにオーディオの世界では、この「アンプ」は『金のかかるもの』の代名詞といっても過言ではない。なぜ金ががかかるかといえば、先に述べた「歪みとの戦い」には膨大な戦費が必要となるからだ。(湾岸戦争か?)
逆に考えれば、歪みを小さくするには、増幅回路が短ければよい‥‥結局当たり前のところに戻ってきた感がある。

〜 続く 〜

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良い音ってなんだろう

音は場所で決まる‥‥?!

当たり前のことだけど、実際に眼の当たり、じゃなく耳の当たりにすると、へ〜こんなに違うんだって感心してしまう。

オーディオ・マニアの多くは、スピーカだよスピーカー、って一刀両断的なことを言われるが‥‥
どのスピーカーで聴いても、エって驚くほどよい音がする場所がある、というのを体験してしまった。その場所が、〝音斎処〟を開催している、岩村町にある居住者のいなくなった古い民家、Y邸である。

今まで〝音斎処〟に来てくださった方々ほぼすべてが、なんでこんなによい音がするの、とか、家で聴くのとなんでこんなに違うの、とか驚かれる。プロのミュージシャンも感心してしまう音のよさなのだ。でも、いったいなんでだろう?

〝音斎処〟の数少ない写真でもお分かりいただけると思うが、ごく普通の民家である。勿論ごく普通といっても現在のではなく、昭和のころの話だが。なので今とは比べ物にならないくらい密閉性にかける。人が住んでいないので尚更、壁の隙間から外は見られるは、ガラス窓は割れているは、風が吹き抜けるどころか猫の通り道になっているほどオープンな空間なのである。
そんなオープンなのに、音は逃げていかない。
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城下の町屋に多い、軒幅が狭く奥に細長い、所謂「鰻の寝床」(鰻が実際真っ直ぐになって寝るのかどうかは知らないが)であり、それに沿って居住部分が作られている、昔ながらの作りだ。
天井は低く、六畳ほどの部屋がいくつか連なり、それぞれが襖一枚で隔てられている。
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〝音斎処〟を開催している空間は、そうした部屋が三つほど並んでいた処を、襖を取り払い畳を取り払い、応急的に板を張りつめてある様な場所だ。六畳間が手前から奥に向かって三つか四つ並んでいると想像してもらえばよい。
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そんな場所(というと叱られるが)なのに、とんでもなく音の広がりと伸びが感じられる。なんでだろう?音響に詳しい方に是非一度解説を願いたいと思っている。

〝音斎処〟で通常使っているスピーカーは、ボーズのアクティブ型のものだ。写真で分かる通り決して大きなものではない。どちらかといえば小型、元々マックとつないでディスクトップで使用するのを前提としたものだ。
ところが、これがこの場所だと良く鳴るのだ。音の伸びも良いし、バランスも結構いける。
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こちらは、今回(5月8日)初めて使ったJBLのスピーカーだ。ボーズに比べればウンと大きなものだが、駆動しているアンプは真空管で五W出るかでないかのものだ。
これも良く鳴ってくれる。当然スピーカーの特性があるので、それぞれの特徴はあるが、どちらも良い音を出してくれるのだ。JBLだから良いわけではないし、ボーズだから良いわけでもない。

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今回使ったシステムをそのままそっくり別の場所に持ち込み、同じアルバム、キース・ジャレットの「ケルンコンサート」をかけてみた。
すると、印象が全く違うのだ。個人的な感じとしては、伸びがやや少なく、薄い感じがした。何かモノたらない感じがした。いや〜こんなに違うんだ、同じスピーカーでも‥‥とちょっと驚いた。
水川撮影
ところが‥‥である。
この場所(イタリアンレストランであるが)で、オーナーの愛聴盤、1954年録音のジャズのLPをかけた途端、これがドンピシャの音で鳴り出した。この音のためにこの店を造ったんでは、と思うくらい馴染んでいて、しっとりした感じで鳴ってくれた。ジャケットを見ると、なんとモノーラル盤。とてもモノーラルとは思えない厚みのある音‥‥。
そんな音を聴いてしまうと、また悪い虫がモゾモゾと這い出してくるかもしれない。(上の写真はM氏撮影のものをお借りしました  )

ということで、今回の一端の結論は、音は場所で決まる。さらに言うなら、レコード(の録音、つまりレコード盤に刻まれた音の善し悪し)によって決まる。決してスピーカーでだけで決まってしまうわけではないのだ。勿論、レコード盤に刻まれた音を忠実に再生してくれる装置が必要ではあるけれど‥‥、といったことになる。

キース・ジャレットの誕生日

〝音斎処〟缶バッジ 新 〝音斎処〟レコードコンサート@安田邸 五月八日(日)は無事終了しました。
 今回も延べ10名ほどのレコード好きが聴きに来てくださいました。

 今回が初めてという方は、岩村の老舗酒蔵でみかけた『キース・ジャレット』『ケルンコンサート』に魅かれて、分かりづらい、説明しづらい場所を、ネットで探して‥‥、ということでした。
 今一人は、赤いトレーナーとジーパンという若々しい出で立ちがお似合いだった‥‥お話をうかがうと、私より一回り以上も年長『もう八十の方が近いですよ』とのこと。若い頃はアルバイトでNHKでレコード盤を回してましたよ、と。レコードにもオーディオにも詳しく、ジャズをこよなく愛しいるとのことでした。

 開催ごとに新しい音楽好きが少しずつ増えていく、まか不思議な経験をさせていただいています。〝音斎処〟に来られた方の何人かに、毎回「ありがとう」というお言葉をいただくのですが、基本的に自分たちの好きなことを勝手に自分たちで楽しんでいる我々にとっては、それこそとてもとても「ありがたい」お言葉です。

 次回は、六月二十五日(土)「昭和歌謡」をハイレゾでおおくりする予定です。