〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio

ホワイトデーのレコード列車

久しぶりのブログ更新です。
いよいよ来年(2015)3月14日ホワイトデーに「レコード列車」の運行が決定し、本番に向けて準備が始まりました。今回は鉄道とスイーツとの出会いという企画に、少しだけコラボで参加させていただきます。

もちろんレコードは株式会社エルプのレーザー・ターンテーブルでかけます。
明知鉄道の気動車内でレーザー・ターンテーブルを使ってレコードが聴けるのはこれで四回目となります。公式には三回目ですが、デビュー前のオーディションとして試験走行があったため。

で何をかけようかということなんですが…基本的にはビートルズ好きの私としてはビートルズなんですが、その中でなにをというところで迷っています。

ビートルズ好きでレコード好きな方はもうご存知だと思いますが、この12月17日に発売されたばかりの通称「赤盤」「青盤」、それと9月9日に発売された待望のモノボックス‥‥
今年だけでも、合計18枚のLPが発売されていて目移りしてしまいます。
まぁホワイトデーということでベタなホワイトアルバムというのが一番なんでしょうが、これをフルにかけるとしたら明知鉄道の往復を全て使わなければならない。
コラボ企画でなければこれが一番いいのだけれど、今回はコラボ企画なのでそんなわけには行かない。はてさてどうしたものか‥‥ということで迷っております。

話変わって、ハードウエアつまり音響機材ですが今回できれば新しいものを実験してみたいと思っております。
といってもレーザー・ターンテーブルは外せないので、スピーカーとアンプということになるのですが;

6月25日の試験運行時と11月15日の明知鉄道まつりではヤマハのPAであるSTAGEPAS 600iをレーザー・ターンテーブルとXLRで直結して鳴らしてみました。このシステムは結構取り回しが楽で重宝するのですが、大音量を出せるというのも見逃せないメリットです。しかも音質は決して悪いわけではありません。PAシステムなので車に乗せて外に持ち出すにはうってつけです。

インターFMのピーター・バラカンさんの番組で紹介していただいた、7月29日の自身の誕生会では株式会社エルプの竹内さんのご協力をいただき、自身も家で使っているMcAUDIのパワーアンプとAurum Cantusのスピーカーを使うことができました。このシステムは当然のことながらPAシステムとは比すべくもなく素晴らしい音で鳴ってくれました。
こうしたハードウエアに関しては、よほどのレコード好きかオーディオ好きでない限り特別何の感慨もないのでしょうが‥‥。

レコード列車の原点として「良音」ということがあります。つまり列車の中でただ音楽を流せば良いということではなく、良い音源を良いシステムでということです。
「レコード列車」というのは、列車の中でレコードを聴くという点だけを見れば、奇を衒った大道芸のように見られるかもしれません。「なんでそんな処で聴かなきゃいけないの?」と思われて当然です。しかし、本質は全く違い、日本の持つ技術力・工業力の上に成り立つ高度な技の結晶なのです。
列車内、それが電車であろうと気動車であろうと新幹線であろうとリニアであろうと、単に列車内で音楽を流すだけならそれほど高い技術を必要としません。今や一般的になったスマートフォンをスピーカーにつなげば、誰もがすぐに列車内で音楽を聴くどころかコンサートだって開くことができます。いわゆるデジダル革命です。

人類はかつて、といっても一般的にはせいぜい30年ほど前まで、軍事的に言っても60年ほど前までは生活の全てがアナログでした。
アナログというと古いもの、面倒くさいもの、ややこしいもの、複雑なもの‥‥といったマイナスのイメージが強くなってしまった現在ですが、実は人類の英知の結晶であるわけです。デジタル社会の出現と比べれば遥かに、気の遠くなるような長い時間を経験してきているのがアナログ社会であり、そのアナログが生み出したのがデジタルなのです。ちょっと考えてみればわかりますが、今のデジタル機器の多くは、そしてアプリと言われるもののほとんどはアナログの模倣に過ぎません。今現在までのデジタルの使われ方はかつてのアナログな道具の模倣でしかないのです。何故ならデジタルの本質は「模倣が得意」ということだからです。受話器もダイアル(ボタン)もない携帯電話やスマホは未だ存在しません。未だに耳と口を使わなければ電話すらできないのです。逆にアナログ電話にはなかった画面が必ずついています。これって何故だかわかりますか?まだデジタルがデジタル固有のものを生み出していないからなのです。

<閑話休題>

『良音』つまり「良い音」で音楽を聴くには気動車というのはうってつけです。これは自身もやってみてわかったことなのですが‥‥気動車の持つ剛性がきっと良い音を聴くのに大きく影響しているのだと思います。それとこれも私見ですが、車両の形状、つまり縦長のというか細長い形状が良い音を聴くのに役立っていると思われます。
だったら、電車でもいいわけでなぜ「気動車?」と思われるかもしれません。
一般的な電車、例えば東京の山手線を走っている電車を思い浮かべていただければいいのですが、最近の電車の車両は全て軽量化されています。その方が燃費もいいし、多くの人をつめる(詰める・積める)からです。なので剛性的にはどうでしょう?車重が明らかに軽いわけですから。それと、電車は当然モーターで動きます。モーターで動くということは変速機が介在しないということで、基本的には無段変速が可能なわけです。その方が乗っていても快適なわけですから。軽量化と強力なモーターによる無段変速により、電車は一昔前と比べても遥かに快適かつ省エネに成っているわけです。これも技術のおかげです。
処が人間にとって快適な電車はレーザー・ターンテーブルにとっても当然快適なわけで、気動車内でレーザー・ターンテーブルが問題なくレコードを再生できることが証明された今、電車内でレーザー・ターンテーブルを使ってレコードを再生する意味が無くなってしまいました。逆に電車内を先にやっていれば、気動車内での実験は避けて通れないものでしたが。
別のところでも少し書いたのですが、気動車というのは別名「レールカー」と呼ばれるように、基本的にはディーゼル・エンジンで走るトラックと同じものです。動力源はモーターではなくエンジンです。エンジンですからピストンがあります。ということで、振動もあります。明知鉄道を走る気動車の独特の走行音と走行振動はディーゼル・エンジンからくるものなのです。つまり、気動車の剛性とはこの音と振動を少しでも減らそうとする知恵と技術の結晶でもあります。そして、その気動車の持つ剛性が音響空間としても優れたものだと思うのわけです。

それともう一つ「気動車」である理由は;電車は都会を走っているもの、ディーゼルは田舎の鉄道、というステレオタイプが存在します。つまり電車は都会を走ってるので風景がほとんど変わりません。しかも通勤電車というが如く「日常」なのです。ディーゼルが田舎といわれる所以は、電線を引くのに困難なところからです。秘境とはいわないまでも、鉄塔を建て電線を引くのが採算に合わない地域に気動車は多く残っています。いわゆるローカル鉄道ですね。これは「非日常」なわけです。(もちろんそこで生活している方々には「日常」なのですが。)「良音」にぴったりな環境は結局はローカル鉄道、気動車しか得られないのです。JRで車両の貸切なんて聞いたことがないですし、有ったとしても過密ダイヤに合わせてのセットアップを考えると二の足を踏みます。しかも運行距離を考慮した料金となるととても個人では手が出ません。
「良音」を考えた「レコード列車」の場合いま一つの要素に時間があります。明知鉄道の恵那・明智間の通常ダイヤの運行時間は48分です。折り返し時間を含めた往復では100分ほどです。片道48分というと、冒頭でも言及したようにビートルズの二枚組のアルバム「ザ・ビートルズ」(通称ホワイト・アルバム)の各一枚が丁度収まる時間です。明智駅の出発のベルとともに聴き始めて、途中レコードを裏返しB面を聴きながら一枚目が終わる頃に恵那駅に到着する。折り返しの待ち時間で煙草を一服し恵那駅発のベルとともに二枚目A面が始まり、また途中レコードを裏返し丁度B面最後の「グッドナイト」が終わる頃列車は終着駅明智のホームに滑り込む。
ビートルズの二枚組のアルバム「ザ・ビートルズ」(通称ホワイト・アルバム)には曲間のグルーヴがありません。それがビートルズの意図だからです。従って、CDやダウンロードで聴くようには行きません。レコードの場合ビートルズの意図通りに配置された順番を辿って聴くしかないのです。途中の好きな曲だけを聴こうとしても曲間のグルーヴがないため結構面倒です。そんなわけで、私もそうですが、ビートルズ・ファンといえども一挙にこの二枚組を聴き切るというのは珍しいことだとおもいます。私の場合、学生時代にはカセットに録音しておいてあまり聞きたくない曲は早送りで飛ばして聴いていたのが実際の処です。発売当時も、「四人のメンバーのごった煮だ」とか「前衛すぎて理解できない」とか言う様な酷評があったこのアルバムですが、今一挙に連続して聴き直すととてもビートルズらしいアルバムだとわかるはずです。

「良音」がらみで最近発売されたレコードで言うと、『ごあいさつ【完全初回プレス限定版】高田渡』というのがあります。これはキングレコードのベルウッド・レーベルの復刻盤のうちの一枚です。この盤は音質がもの凄く良くって、ぐんぐん迫ってきます。しかも高田渡のデビュー・アルバムであるため、若き日の高田渡の生き生きした声と詞と曲の絶妙な組み合わせがひしひしと伝わってきます。私は到着後すぐに聴き始め、続けて四度も聴き直してしまいました。ただ惜しいことにこの盤はスイーツとは合わない。超マニアックなレコード好きには受けるかもしれないけど、スイーツ男・女子には拒絶されるだろうな〜
スイーツに合うものといえば‥‥由紀さおりの「1969」というのは良いかもしれない。そういえば、細野晴臣もあったよな〜

そんなわけで、何をかけるかは本番のお楽しみとして、今度はちょっと変わった音響理論を持つスピーカーを試してみたいと思っています。今までとは異なる音響理論に基づいていて、気になっている形状を持つスピーカーが実は二種類あります。どちらも試してみたいのですが、二つを一度に入手するには資金が不足しております。なのでどちらか一方だけを入手したいと考えています。繰り返しになりますが、こんなことは一般的には興味のないことだと思います。でも「良い音」特に私の場合には気動車内での「良い音」には欠かせないものなのです。